2009年10月20日

タイピング動作のアニメーション

そもそも3D仮想空間において文字によるチャットは合理的ではない。アバターの移動などの操作と会話が同時にできないからだ。3D仮想空間におけるコミュニケーションは音声によるチャット(ボイスチャット)が大前提と言ってもいい。

それでもまだ、セカンドライフでの文字チャットはタイピング動作のアニメーションとサウンド効果によって3D仮想空間でのコミュニケーションに意義を持たせることに成功している。

例えば誰かが文字を入力し始めるとアバターがタイピング動作のアニメーションを始めるので、その人物がこれから発言しようとしているということが視覚的に認識できる。さらに、アバターの方向からカタカタという音が聞こえるので、相手の位置を聴覚的にも認識できる。こういったことは3D仮想空間ならではの特徴といえる。

タイピング動作のアニメーションは現実的に考えれば不自然で、私もセカンドライフを始めたばかりのころはかなりの違和感を感じていた。そう感じる人も多いようで、最近ではこのタイピング動作のアニメーションを無効にしている人も増えてきているようだが、こういったことは文字チャットをする者にとってはマナー違反だと思う。

タイピング動作のアニメーションは3D仮想空間のコミュニケーションにおいては非常に重要な要素となっている。これがあるからこそ、周囲の人は発言者に注意を向けることができる。また、相手が何かを発言しようとしていることがわかれば、こちらは相手の発言を待つこともできる。

お互いに好き勝手に発言するだけのチャットでは、言いたいことがすれ違うばかりで誤解を招きやすくなる。文字のみのチャットでは口論などのトラブルに発展することが多いのは、相手の姿が見えないために、どうしても相手の存在を無視した自分勝手な発言になりがちだからだ。

現実世界でも、発言者に注意を向け相手の発言を待つことは常識的なマナーだ。それを3D仮想世界において実現可能にしているのがタイピング動作のアニメーションなのである。この機能を有効にしておくことは、周囲の人に対する気づかいであり、思いやりなのだ。

発言しようとしている人に意識を向けることは、現実世界でも3D仮想世界でも同様に重要なことなのだが、それは単なる形式的なマナーというわけではない。意識を向けるということは、相手に「エネルギーを送る」ということである。それによってエネルギーを得た発言者は、その場において最も適切な発言をする努力をしようとする。結果として、その場の発言者や傍聴者にとって最も有益な会話が成立するようになるのである。

このエネルギーこそが「愛」であり、その愛の連鎖を生みだす素晴らしい機能が、タイピング動作のアニメーションなのである。

多くの人が集まるイベントなどに観客として参加するような場合にはタイピング動作のアニメーションを無効にしておくことがマナーとなる場合もあるが、そのような特別な事情がない限り、少なくとも日常会話においては、是非ともこの機能を有効にしておいてもらいたいと思う。


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Posted by Apollo Mager at 21:38│Comments(0)コラム
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