2017年06月05日

癌で20年後に死にます

ふらりと歩いてやってきた男性のアバター。話を聞いてみると、占ってほしいと言っている。

彼はチャットではしゃべらず、最初からボイスで話しかけてきた。一応英語で話しているが、どうやらトルコ人らしく、英語は得意ではないらしい。もちろん日本語は全く理解できない。

仕方がないので翻訳機を使ってチャットで返事をした。翻訳機の設定でトルコ語に翻訳するようにしてみたものの、私の方がその翻訳を理解できないので正確に伝わっているのか全く分からない。英語ならある程度は理解できるからまだましだったのだが……。

相手はこちらの機械翻訳トルコ語を理解して片言の英語で返事をする。さすがに Second Life ではまだ音声の自動翻訳までは不可能なので、私の方は相手の英語音声を理解して日本語のチャットとボイスで返事をする。それでどうにか会話が成立して占いまでこぎつけることができた。

占いたいことはリアルライフの人生についてということだった。言葉が通じないから適当に人生全般を占ってくれといっているのかと思ったのだが、よくよく話を聞いてみると、どうもただそれだけではないようだった。

あと 40 年生きると言う。つまり 60 歳まで生きれば満足だという意味かと思ったのだが、それはちょっと違ったようだ。

人生にお金はいらない。今は独り身だが、パートナーは欲しいというようなことは言っていた。だが、ポイントはそこではなく、癌に侵されているというのだ。

生年月日を聞くと今はまだ 20 歳らしい。それで癌になってしまって、医者にあと 20 年の命だといわれたのだとか。それで 40 歳まで生きるということだった。つまり、今から 40 年間生きるというのは私の勘違いで、40 歳まで生きるということだったらしい。

もしや虚言癖か?と疑いもしたが、まあ本人がそう言うんだから深く追及はしなかった。言葉が十分に伝わらないから確認するのもめんどくさかったというのもあるが……。

だから、癌に侵された自分の残りの 20 年の人生を占いたいということらしかった。

余命 20 年といえば短く聞こえるかもしれないが、人生における 20 年というのは決して短いものではない。それをタロットカード 1 枚で占うというのはあまりに現実的ではない話だったが、それでも占ってほしいというから占うことにした。

めくられたタロットカードは「剣の 9」だった。

タロットカード: 剣の9

彼にはここに描かれている人物はすでに死んでいるように見えるとのことだった。死んでいるけれども悪くはない、幸せに見えるとも言っていた。

それはおかしな話だと突っ込みを入れつつ、私は解釈に入った。

この人物は癌という病に悩み苦しみながら 20 年の余命を過ごす。9 本の剣は刻々と迫る死の暗示だと伝えた。

つまり、相談者の彼は癌であるということを常に意識し、苦悩し続けることになるのだ。

私は彼に質問をした。

「そんな辛い思いをしながら 20 年間生きるつもりですか?」

彼は「それでいい」と言った。

私はそれでいいとは思わなかった。

自分ではいいと思っても、周りの人はいいとは思わないだろう。生きるということは、自分一人だけで生命を維持していくことではない。自分は周りの人に支えられながら生きていくだろうし、自分もまた、生きている限りは他の誰かを支えることになる。周りの人たちと共に生きていくことにこそ意味があるのだ。

苦しんでいる自分を憐れんでいるだけの人生など生きる価値はない。その程度の気持ちならば今すぐ死んだほうがましだ。

私は厳しくも穏やかな口調で(日本語ではあったがボイスも併用して)そう伝えたが、うまく伝わったかどうか確認する前に彼は無言で Second Life から落ちてしまった。伝わったからこそ、厳しい言葉に気分を悪くして落ちたのかもしれない。

本当はただ同情してもらいたかっただけなのかもしれないし、あるいは、20 年後に死ぬなんていうバカげた嘘をついていた自分が恥ずかしくなったのかもしれない。

たとえ癌であることが本当であったとしても、20 年も生きられるならまず生きることを考えるべきなのだ。死ぬことを考えるのは 20 年先でいい。

癌でなくても明日死ぬ人だっている。そういう人たちのことを考えれば 20 年も生きられる自分の方がよっぽどましではないか。もしあなたがその人を支えてあげれば明日死なずに済む人もいるかもしれない。

今は生きているのだから、20 年後に死ぬまで誰かのために生きることだってできる。20 年後に死ぬ自分が、死ぬまでに何十人、何百人と出会い、彼らのためにしてあげられることは沢山あるはずだ。

自分が苦しみから救われることだけを考えて生きたところで何の意味もないが、人のために生きることができればその人生は何倍もの価値を持つことになる。

癌であろうとなかろうと、みんな同じように生きているだけなのだ。

タロットがこの一枚のカードで伝えようとしていたのはそういうことなのだと、私は解釈した。



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Posted by Apollo Mager at 02:08│Comments(0)占い実例コラム日記
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